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麻布台ヒルズ レジデンスB 工事遅延理由とその補償は?

不動産

私は麻布台ヒルズ レジデンスBの地権者であり、当初は2023年3月に入居する予定でした。

しかし、コロナ及び三井住友建設の工事の遅延により入居は大幅な延期となりました。

再開発組合と森ビルは、工事遅延が発覚してから、何度となく地権者説明会を実施してきましたが、いずれも完成スケジュールを明確にできるものではありませんでした。

また、遅延による補償は一度ありましたが、その後さらなる遅延が発覚し、その後の補償については、明示されませんでした。

ここにきて、やっとそのスケジュールと補償が確定しましたので、地権者説明会での情報をもとに紹介します。

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麻布台ヒルズレジデンスB

麻布台ヒルズレジデンスBは、虎ノ門・麻布台地区市街地再開発組合が東京都港区の再開発エリア「麻布台ヒルズ」に新設する地上64階、地下5階、高さ262.82m(最高262.82m)、総戸数約970戸のタワーマンションです。

地下1階~地上2階に商業施設、3~5階にオフィス(約4,200㎡)、6~64階に約170戸のサービスアパートメントを含む住宅を有します。

マンション共用施設として、ジム、シアター、キッズルーム、飲食ラウンジ、スタディルーム、パーティラウンジ、 ゲストルーム、BBQテラスなどがあります。

低層部には商業施設やオフィスが配置されます。

参加組合員は森ビルと日本郵便、設計は森ビル、施工は三井住友建設。

2023年3月に竣工する予定でしたが、工期は遅延しました。

工期遅延理由と過去の地権者説明会

今回の遅延で最も大きな原因は製品不具合に伴うものです。

ここで言う製品とは、プレキャストコンクリート(PCa)のことです。

プレキャストコンクリート(PCa)とは、専用工場であらかじめ製作したコンクリート部材です。

一般には建設現場でコンクリートを流し込んで作業を行いますが、プレキャストコンクリート(PCa)の場合は、建物の構造体となる「柱」や「梁」を専用工場で製作した上で、工事現場に運搬し、取り付け・設置します。

専用工場で製作するため、本来であれば品質確保、工程短縮に優れる工法です。

以下は再開発組合の地権者に対する説明会のポイントです。

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2021年11月

三井住友建設より、コロナの影響と、地下部分の設計が建物の下を走る地下鉄に近接しすぎていたものであった為、設計変更を余儀なくされた。

これにより工期が当初予定されていた2023年3月から15か月遅延し、2024年の6月となる説明がある。

2023年3月

三井住友建設より、2022年10月から製作しているプレキャストコンクリート(PCa)部材の一部が検査不合格になり、再製作を伴う事態が発生した。

現時点で2024年6月引き渡しの工期はさらに4か月半の遅延がさけられない状況になったとの説明がある。

2023年5月

三井住友建設がプレキャストコンクリート(PCa)製作不具合に対し「不適切な補修」を行っていることが発覚し、工事を一時中断し、すでに取り付け済みの部材も撤去し、再設置する是正措置がとられる。

これにより、よるさらなる工期の遅延が発生する。

今後は工事中・工事完了後の管理者確認においても、第三者監査機関による監査を実施し、計画通りに施工されていることを確認する。

森ビルが再開発組合に代って施工者への発注者の地位を引き継ぎ、特定建築者として責任を持って地権者に建物を引き渡す体制にする。

2023年7月

2階、3階のプレキャストコンクリート(PCa)の取り外し、再制作・再設置工事は予定通り進捗している。

2023年12月

工事の進捗状況として順調に13階の床まですすんでいる。

2階、3階のプレキャストコンクリート(PCa)の取り外し、再制作・再設置工事は、9月に完了した。

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スケジュール及び遅延補償

虎ノ門・麻布台地区市街地再開発組合は2024年3月10日、13日に臨時総会を開催して、地権者に対し今後のスケジュールと遅延補償について説明しました。

そのポイントは以下の通りです。

スケジュール

三井住友建設によれば、2024年2月末時点で30階の工事に着手しており、2024年9月には上棟し、2025年8月末には竣工となる見通しとのことです。

ただし、2024年4月以降の建設業・運輸業に対する時間外労働の上限規制の適用による現場への影響において依然として予測できない部分がある為、森ビルが地権者に引き渡しを約束できる期日は、2025年10月末となります。

遅延補償

基本的に工事遅延に対する地権者への補償は、三井住友建設の請負代金の10%の中から充当される契約になっています。

ただし、この長期にわたる工期の遅延は異常であり、その補償額は通常の建設業の請負契約で交わされる契約違約金(請負金額の10%)で賄えない状況になる可能性が高くなります。

それでは、どうなるかというと、契約通りであれば三井住友建設は契約を超えた金額は支払いませんので、それ以上を要求する為には訴訟することになります。

訴訟となれば、仮に勝訴したとしても、地権者が補償金を手にするまでには長い年月を要します。

森ビルは、特定建築者として、今後の訴訟を含めた三井住友建設との交渉を担う旨、説明しました。

さらに工事遅延に伴う補償額を含めた再開発組合の支出が違約金を上回る場合は、森ビルが負担することを約束しました。

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まとめ

麻布台ヒルズ レジデンスBの工期遅延の原因はすべて三井住友建設にありますが、森ビルにとって麻布台ヒルズは35年にわたる地道な開発努力によりやっと実現したプロジェクトであり、この問題をいい形で解決することは、森ビルが今後も都市開発を進めていく上で、必要不可欠であったと考えます。

今回の説明会までの調整で、再開発組合、森ビル、地権者が合意にいたったのは、以下のポイントが重要であったと思います。

森ビルが特定建築者となった

本来の契約では、施工者(三井住友建設)が再開発組合に完成建物を引き渡し、再開発組合が各組合員に物件を引き渡すという流れでした。

三井住友建設による度重なる工期遅延により、森ビルが特定建築者となり、再開発組合と施工者との間に森ビルが入り、森ビルが再開発組合に完成建物を引き渡すことになりました。

このことは、地権者に対して、完成建物の瑕疵担保責任やアフターサービスの対応については、三井住友建設ではなく、森ビルが負うことを意味します。

しかも森ビルは、麻布台ヒルズ レジデンスBの約80%を所有しており、自社の所有物件としてだけでなく、特定建築者として建物全体に責任を負う立場になったことは、地権者に安心感を与えました。

補償を森ビルが肩代わりした

森ビルは、特定建築者として、今後の訴訟を含めた三井住友建設との交渉を担う旨、説明しました。

さらに工期遅延に伴う補償額を含めた再開発組合の支出が違約金を上回る場合は、森ビルが負担することを約束しました。

地権者には高齢の方も多く、今後の補償金を訴訟で争うということは現実的ではなく、ただでさえ、遅延による被害を受けている地権者の納得を得られものではありません。

森ビルは、前述のように、建物の約80%を所有しており、ある意味被害者でもあるわけですが、その補償を肩代わりすることで、デベロッパーとしての責任を果たしたといえます。

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